学習塾の伸び率がイマイチの時、経営者なら誰でも考える「月謝の値下げ」。
でもこれは吉と出る時もありますが、失敗するリスクも大きいのです。
少し前、消費税率が上がった時は一斉に何もかも上がりましたね。
塾にしても教材費が上がったなど諸費用が上がったことで値上げに踏み切れました。
多くが値上げをしている中、新規生徒を獲得するためだからと言って値下げをすると逆に命取りになることもあります。
よく考え市場調査をし、月謝の上げ下げを実行する時は勝負球を投げましょう。
目次
退塾者が増えると弱気になって他塾より値下げを実行する塾がありますが、危険です。
もちろん安く通塾できるのですから通わせている家庭的にはうれしいでしょう。
ですが、これまでの価格から安くする必然性を保護者は考えます。
自信がないのかな?
安くしてこれまでより手抜きしたりしないかしら?
と保護者が不安に思うことも予想されます。
保護者と生徒が求めているのは上質の教育です。
それが求められないと危惧すれば退塾生はますます増えます。
さらには、相場より月謝を安く設定していたとしても、その後近隣にさらに安い塾ができたとしたら、あなたはさらに値下げできますか?
ディスカウントで一番怪しいのは、特定の科目の値下げを謳ってまた別の科目では値上げをして、更に別の科目では値上げをして…という形でいかにもディスカウントしているようで結果上がっていたり、お知らせの隅に見落とすことを念頭に置いたかの如く値上げを記載している物。
家庭で求めているのは繰り返しますが良いサービスです。
そのために逆に警戒心を招くようなマイナスな値下げはやめましょう。
大手は値下げだけでなく2か月間授業料無料などを次々繰り出してきます。
大手に負けて潰れないように、で値下げしていると本当に廃業に追い込まれます。
どこが分からないのか一人一人の弱点を押さえて、自分の技と本気度を見せれば、丁寧さや熱意がウリになって退塾する学生がいなくなることもあります。
値下げでは大手に勝てないことが明らかになれば、これまでどおりの月謝で、毅然としましょう。
大手は多少の利益が下がっても余裕があるから値下げができるのです。
もしくは値下げをする前提で料金設定をしているでしょう。
どんなに計画的・戦略的な値下げを小規模塾が実施しても、それに勝る体力を持つ大手に同じ手を取られてしまっては自塾の優位性がなくなってしまいます。
これは本当に大変です。
ですから再び上げる時はいつどのような理由で上げる(元に戻す)のかをきっちり考えてから下げないとダメです。
生徒は安いから来るのではなく、高くてもそれに見合うサービスが得られれば自然に来るのです。
新たな研究で分かった新しい方法論とそれに基づいた設備を使ってやるから高いコストがかかり値上げをするというような、努力の成果とそれによる塾生へのメリットの説明会を開くぐらいの誠意が必要です。
そう考えると退塾生が出ても最後まで下げないで良い授業をすることの方が容易です。
ここで言うサービスとは授業・講師・環境などの塾としての質ということです。
最も有効的なのは、生徒や保護者に手厚さを感じさせることです。
生徒一人一人の学習面の悩みについて一緒に考えたり、授業や生徒の様子を細かく頻繁に共有したり、と特別な設備や広告などを用意しなくてもできることはたくさんあります。
自塾だからできる特別な手厚さを実行していきましょう。
また、生徒のモチベーションを上げるためのサービスとして考えてみると、塾のクーポン券でもいいでしょう。
枚つづりで全回出席無遅刻小テスト平均点以上全回取れたら、試験前の特別授業を1回無料で受けられるなど、手づくりならではのモチベーションが上がるアイディアを考えて実施します。
自習室で自習が1時間ずつ10回出来て最終テストで合格点を取ったら試験前の特別授業を受けられる、というのも生徒のモチベーションを上げることとなったりします。
何かに向けて自分で努力したということは生徒のモチベーションを上げます。
もし生徒が退塾して在籍生徒が少なくなってしまったら、これを逆に利用して懇切丁寧に分かるまで辛抱強く教えます。
残った生徒の満足度は高くなります。
こちらから生徒を評価するように生徒も逆に講師の評価をし、良いと思う点も良くないと思う点も感じていますから、ひと月に1~2回生徒に塾の教え方や接し方について無記名でも良いのでアンケートを取ってみて改善点を講師達と話し合うのも良いでしょう。
こうして理想的な授業を頑張ってみるとそのうち口コミで評判が広がっていきます。
塾は極端に言えば、紙と鉛筆があればどこでも始められる仕事です。
どんなに工夫しても退塾が止まらないなら、あなたを慕う残りの生徒たちのためにも思い切って1度廃業するのも手です。
こんなに努力しているのに…
という悲壮感は次に軌道修正する時にはマイナスです。
消耗しきってしまう前に事業の継承者をM&A仲介業者などに見つけてもらい、まだ仕事を前向きにする余力と資金を少しでも残しましょう。
塾はうまくいけば転職した際の副業でできるかもしれません。
あるいは塾そのものを再出発する可能性もあります。
M&Aをするのならそのあたりのことも話しておきましょう。
そして廃業の際は、意外と重宝される「居抜き」のままで譲渡しましょう。
居ぬきは、今ある設備や備品等を廃棄処分することなく譲渡するもので、ここに開業したい塾の経営者がいたら設備投資にかけるお金がぐんと減るので非常に喜ばれ、双方が想定していたより資金を使わずメリットのある方法です。
「譲渡」という形を取りますが、通例今いる生徒たちも引き継がれることになるので、生徒たちは急に行き場を失うことなく勉強を続けることができます。
譲渡された側は、黒板、机、照明、業務用エアコン、AV機器、スピーカー、コピー機、その他前の塾の設備、備品を引き継ぐので、有効活用しつつすぐ授業を始められます。
廃業したかたも相当な設備を残したのですからそれ相応の利益が出ることもあります。
少し休んで新たな出発を切ることができるでしょう。
M&Aと言うと昔は大手専用でしたが、それだけ個人塾、少規模塾の需要が増えたということです。
疑問点ははっきり聞いて、双方の新たな出発に向けて力強く前を向いていきましょう。
新規生徒がなかなか生まれないときに考えられる初めの手として月謝を下げる試みを、できるだけやめた方がいいという立場から論考しました。
理由は様々でしたが、それによってマイナスな印象が強くなること、益々大手と比べてひっ迫すること、何より再び値上げをすることが極めて難しいことなどが挙げられました。
健闘むなしく廃業をするに至った場合もできるだけ損失を抑え、居抜き物件として譲渡できる相手を見つけます。
これから開業しようと思っている人にとってはまたとない掘り出し物。M&A仲介業者に入ってもらって手続きをすれば両者にとって経費が抑えられる理想の物件ということにもなります。
頑張るところまで頑張ったら専門家の意見を聞きながら、これ以上に出費を出さない方向で廃業し、また出直すことができるようにお金を上手に残しましょう。
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