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事業譲渡例45|塾のスタイルと地域性のミスマッチ 別スタイルの塾への譲渡 

2024年1月24日
譲渡例(今までのケース)

お世話になっております。「学習塾売却のセカチャレ」を運営する株式会社インフィニティライフの吉田です。


セカチャレは、学習塾専門の株式、持分、事業売却のサポートサービスとして、今まで300件以上の学習塾売却に携わってきました。

学習塾経営者様の方には「株式売却、持分売却、事業売却は大規模な企業の話、自分には関係のないことだろう。」と考えている方も多くいらっしゃいます。


しかし、

・学習塾を閉校したいが、生徒や講師のことを考えるとやめられない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却をすることがどのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログでご紹介します。


今回は、東京都に複数教室展開されている学習塾の譲渡のお話です。新規開校したものの当該エリアの地域性とマッチせず、これまで成功していた塾が新規開校したところ、うまく集客できませんでした。従来のシステムでは生徒が集まらず譲渡することを決断いたしました。


その経緯も含めて、紹介していきます。


学習塾事業概要


■教室所在地
東京都23区内

■指導形態
個別指導

■生徒数
5名〜10名程度

■売上高
約130万円

■営業利益
-100万円〜0円

■譲渡金額
無償譲渡

■案件ページ

【駅徒歩2分/新規開業向け】東京都江戸川区の自立学習+個別指導塾

事業譲渡を決めるまで


開校以来生徒数が2桁を超えなかった…


本塾は元々都内別区で成功を収めており、別エリアへの新規展開として成功した塾スタイルそのままに新規開校を行いました。もちろんオーナー様として商圏調査は行った上での開校でしたが、実際の保護者様の持つ教育への金銭感覚と、本塾の御月謝額に大きな乖離があり、低額コースを開設するも一度付いた高いイメージを払拭しきれずにおりました。

閉校を検討しなければならないと悩まれていた中、譲渡という手段があることを知り、学習塾専門である弊社にお問合せをいただきました。

生徒は10名に届かず、在籍生徒も低額コースがほとんどで…と非常に自信なさげであったことを今でも覚えております。確かにオーナー様のおっしゃる通り、低単価・生徒数の少なさという要素は多くの買い手様にとってはマイナス要素として捉えられます。しかしながら、本塾は駅より徒歩3分程度、目と鼻の先には大型商業施設、周りには公団住宅・住宅街と最高の立地を持っておりました。

オーナー様の商圏判断は間違っていたとは全く言えない立地に私は大きな武器になると確信めいた想いを抱きました。それはオーナー様の開校当初の期待感と一致するもので、譲渡を求める方が現れる可能性はあると募集を開始させていただく運びとなりました。

募集開始〜基本合意


買い手さまの募集・候補者さまの反応


弊社では、お手伝いをする際に、案件毎に「事業概要書」を作成します。この事業概要書には学習塾の実態をまとめるのですが、その際に売り手さまからさまざま資料をいただきながら作成をします。

概要書が完成してから、弊社では募集を開始します。スタートしてからの反響は、比較的少なく、どうしても塾を特定されないために詳細な立地を提示しての募集が出来ない以上、一番の武器を振るい難い状況でした。概要書をご覧いただくまでが一番の関門であると判断し、譲渡額を0円とする相談をオーナー様にいたしました。オーナー様としても無償譲渡を決断することは非常に覚悟のいるご判断だったと存じます。ただなによりも買い手様に概要書をご覧いただかなければとお願いをさせていただきました。

そして譲渡額を0円にしたことで多くの方から実名交渉のご要望をいただくことができました。


現地での面談


お話を進めてくださっていた候補者さまの中で何名か、オンライン面談を経て、現地に伺って実際に現地を見たいという方がいらっしゃり、売り手さまにも都合をつけていただいて、現地面談を実施しました。


概要書やオンライン面談で、数字面などなんとなく塾のイメージはできるものの、実際に教室に行ってわかることはたくさんあります。

本塾は立地の強みがあり、駅から教室にお越しいただく道順の中でも感じて頂けるものがございました。特に塾の周囲に公団住宅があること、周辺競合塾の属性が偏っていることを理解していただくことが出来ました。

これはオンラインなどでは伝わり切らない魅力で、実際に現地にお越しいただいたからこそわかることです。お越しいただいた方も、お話していたもの以上に魅力を感じてくださり、さらに前に進んでいただける手応えがありました。


ご訪問いただいてから、お越しいただいた方のうち1名の方に「譲渡に向けて動いていきたい」とのお返事をいただき、基本合意を締結する運びとなりました。


この候補者さまは、同じ埼玉県で塾を運営、海外事業を展開している法人様で、本塾とは違う層をターゲットにしており、周辺塾と競合しないという立地を存分に生かせる属性を持ってらっしゃり、魅力に感じてくださったようです。


基本合意〜事業譲渡契約


基本合意後


学習塾の事業譲渡の場合、ある程度の情報は先に出してしまっているので、DDでより細かく調べる必要がある内容は、そこまで多くありません。


今回は、生徒様の人数も少なく、確認事項は発生している御月謝が報告通りの金額か、講師への支払い給与も報告通りかと塾の通帳の出入金履歴で確認が終わる程度のものでした。

そして、多くの学習塾の事業譲渡において、最も高いハードルとなるのが賃貸借契約です。

賃貸借契約は、一般的に譲渡契約のあとに大家さんもしくは管理会社との交渉が行われます。

※明確に譲渡を伝えないように、根回しを行うことはあります

事業譲渡の話が伝わってしまうと、そこからご家庭や講師に伝わってしまう可能性が0ではないからです。その場合、本意でないものが伝わってしまい、離脱が発生してしまうなどのリスクがあるからです。

一方で、今回は譲渡がされなければいずれにせよ閉校する予定であったこと、解約する場合には告知義務があったことから、先に大家さまにも伝えていたため、譲渡後の賃貸借の条件などは、譲渡契約前にチェックをすることができました。

譲渡前とほとんど同様の条件で借りることができるということが判明したため、買い手様としてもリスクなく、お話を進めることができました。

譲渡契約のあとに、あまりにも現行と条件面で大きな乖離がでてしまい、目論んでいた収支計画がいきなり崩れてしまう、という可能性は0ではありません。

それらの数字面の細かいチェック、譲渡後の条件面のチェックが完了し、無事に譲渡契約を締結することができました。引き継ぎ期間もきちんと取れるスケジュールに設定し、双方が今後のイメージをもって、お話をまとめることができました。



譲渡契約締結後


譲渡契約の締結が完了し、現在は引き継ぎ期間に入っています。


今の所特にトラブルなく進んでおり、ご家庭への案内や、アルバイトの方との雇用契約の手続きなどを進めています。事業譲渡の場合は、株式や持分の譲渡と異なり、各種契約関係を全て巻き直さなくてはいけません。


賃貸借契約の条件も事前にチェックすることができていたので、その折衝等特別必要なく、手続きを進めることができています。


買い手様は現行と違った塾作りのノウハウがあるため、在籍生徒への影響を最小限にしながら塾の形態を変化させていく予定です。ここに生徒離脱の不安感がございましたが、オーナー様が出来る限り顔を出していただくことで、出来る限り生徒様のご不安を無くし、講師がそのままであること、御月謝の変更も在籍中はないことを確約することで離脱を防ぐよう進めていく予定です。

本地域にはなかった属性の塾が新たに生まれ、地域の教育環境が変化していくのも時間の問題でしょう。

終わりに

今回は「成功しているノウハウが地域性の違いによって通用しなかった」という理由で、譲渡をすることを決心されました。他にもこういったお悩みを持ってらっしゃる塾はあると存じますが、こうのように譲渡という手段を利用して、在籍生徒の居場所を守ろうとご相談いただいたのでは初めてでした。

譲渡額の査定において立地は金額化するには非常に難しい要素で、特に募集段階では最も公に出来ない情報でもあります。それでも、間違いなく塾を開校する上で欠かせない要素であり、譲渡の判断に大きく寄与する要素です。

この武器をどう譲渡に活かすか。

モチベーションや体力という定性的な理由ではなく、売り手様のターゲット層と塾スタイルのミスマッチという分析結果が、買い手様の今後の経営方針を後押しすることになったことでなんとか譲渡に寄与できたと考えています。

塾の買収を決める要因はなにか、買収後により塾を盛り上げるには何が足りないか、明確にわかれば苦労はしませんが可能性を見出すことはできます。

セカチャレはその「売るためにネックとなる部分」を理解しています。逆に言えば、「譲渡により改善できる部分」を熟知しています。


その点で、「個人で譲渡を検討しているけれども、どうアピールしていいかわからない」と思っている学習塾経営者の方のお手伝いは十分にできると自負しています。

利用は無料なので、コストもなく利用できるので、少しでも検討されている方はお気軽にご相談ください。


また、セカチャレには「学習塾やスクールの事業を買収したい」と考えている候補者の方とのネットワークがあります。

「うちの塾は売却ができるのかな?」

「興味を持ってくれる候補者はいるのかな?」

と少しでも気になっている学習塾の経営者様、是非ともお気軽にお声がけください。


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